ヴィヴィッドの記録

日々感じたこと、考えたことを記録してます

夏の話

 今年で5回目のグループ展が終了した。去年も実施していたこともあり、感染症対策については去年を踏襲、および一部強化した。会期中、誰も具合が悪くなることなく終えられたのはとてもよかった。(去年は私が酷い熱中症でダウンした。いま思い返すと救急車呼ぶレベル)

 この感染症の状況と連日の豪雨により平年よりもかなり来場者数は少なく、感染対策的な意味で言うとかなりラッキーだった。ラッキーだったが、もちろん可能性はあるので、二週間はやきもきしながら過ごすのだろう。終わったのに終わった!と喜べないのはなかなか辛い。この状況になってからも時々ライブや演劇などに行っているため、2週間やきもきタイムには慣れているがかなり精神をじわじわと蝕み、具合が悪いような気がしてくる。


【上記文章を書いてから2週間経過】


 終わってから2週間が経った。メンバーにも、来場した知り合いにも感染者はいない。ギャラリーから連絡も来ていないからきっと来場者にもいないのだろう。ほっとした。今この時に集まること、誰かを集めることはリスキーだ。そんな当たり前のことをひしひしと感じた。開催の1週間前には、2週間前にはきっとこんなにひしひしと感じていなかった。各方面から賛否両論、悲喜交交、諸々言われていたオリンピック、フジロックパラリンピック、数々のイベントを見たせいだと思った。いつまでこんなひしひしとじわじわとなにかを蝕んでいくような時を過ごさなければならないのだろう。来年は、という言葉を口にしながら、来年に向けて動き始めている。

 


 過去5回もやっていると自分の正攻法みたいなものが見え始めてしまっていてそれに甘えてしまう私がいる。深耕ができていればいいのだが、今年は深められず、ぼんやりとしたまま展示をしてしまい、少し残念なことをしてしまった、と思っている。日常からぼんやりし過ぎていた。

 何になるわけでも、お金になるわけでも(むしろ入場料を取っていない、作品を売るわけでもないので赤字でしかない)、去年今年で言えばリスキーなだけなのに、こんなことを続けている。でもこれってもしかしてとても尊い営みなのでは?と密かに思ってる。思いすぎると重くなって何も出来なくなるので基本そんな思いは忘れているが。生活のために働き、お金のために働き、働くために働いているような訳の分からない毎日の中で、なんにもならない物を作ろうとし、思考し、試行する。それで出来によっては反省したり、猛省したりする。何にもならないのに。生きていると『何かになる』と思ってしまうことが多すぎる。本当は何にもならないのに。何にもならないと分かっていながら何にもならない事をする、これって楽しく生きるのに必要なんじゃないか。

 それでいて友人たちの作品は何にもならないわけではない。美しいと思えたり、かわいいと思えたり、思慮深いなと思えたり、なんてロマンチックなんだろうと思えたり、日常が一瞬だけドラマチックに見えたりする。

 日々何かになると思ったり、何かする、と思い過ぎているのかもしれない。結果、何かになっているだけなのに。

 日々の生活に流されず、諦めず、毎年作品を共に作ってくれるタフな友人たち、ありがとう。来年も楽しみにしている。

 


 今回の作品は小さめの写真と言葉とプレイリスト。私の想像の中の誰かが聞いていそうなプレイリストを作ってみたいな、と思ったのが発端だ。そしてそのプレイリストを聴いている想像上の人物Aが見ている風景や日記を起こせたら素敵だな、と思って作品を作り始めたのだが、まずはじめの作業で躓いた。私は私の音楽の守備範囲を広く見積り過ぎていた。そもそも私たち世代の音楽の聞き方は大体能動的だ。興味のあるアーティストや誰かがかっこいいと言っていたアーティストのCDをTSUTAYAで借りてWALKMANに入れて聴いていた学生時代。もうその選定で私というフィルターがめちゃめちゃかかってる。その何十?何千?何万?曲の中で人物Aのプレイリストを作ったところでそれはもう私なのだ。

 そんな感じでプレイリストに躓いていたら夏が近付き、おまけに仕事も忙しくなり、プレイリストを作ってないのに写真と言葉を作り始めるというまさに本末転倒な作品の作り方となってしまった。が、それに合わせた方が私から離れたプレイリストが作れたような気もしている。

 毎年毎年、計画性というものとやる気とひらめきというもののすり合わせをしている。気分で作品は作りたくないが、その気分込みで計画を立てないと毎度同じ結果だな、と反省している。


 来年、の話は進んでいる。

 来年、もっと自由に動けたらいいな、とじんわり思っている。

 

 

 

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 使わなかった写真。誰かの通学路。


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 使わなかった写真。ごちゃごちゃしている。