ヴィヴィッドの記録

日々感じたこと、考えたことを記録してます

5年に一度のお祭りの話。

11月26日・27日に『ACIDMAN presents SAITAMA ROCK FESTIVAL SAI 2022』へ行ってきた。このロックフェスは5年前の2017年にも開催されており、主催のACIDMANの結成20周年&メジャーデビュー15周年をお祝いするフェスだった。なので今年は25周年&20周年お祝いフェス。

 わたしの申込履歴によると、最速抽選で去年の12月頭に申し込んでいるようなので、約1年この日を待ち望んでいた。

 そんな待ちに待ったフェスの記録である。

 

 長いので結論から言うとやっぱり「愛」に溢れた、楽しく、最高な二日間であった。人生の最期に見る走馬灯の1ページに刻まれた。5年前と変わらずフェスを楽しめる経済的・肉体的・精神的余裕、その余裕が生まれる環境に居続けられることに感謝し、出演した全アーティスト、スタッフさん、関わった人たちに深く感謝したい。本当にありがとうございました。



 

 

はじめに

 主催のACIDMANは私が高校生のときから敬愛している3ピースロックバンドである。かれこれ15〜16年?の付き合いになる。恐ろしい。ちなみに初日に一緒に行ったソウルメイトも高校生のときからの付き合いなので同じくである。恐ろしい。

 当時とんでもなく捻くれていた私はいわゆる洋楽かぶれで、日本人を母語とする人たちの英語歌詞の音楽は全く聞かず、邦楽は日本語のみで歌われた音楽しか聴いていなかった。そうなってくると聞けるアーティストが途端に少なくなる。これでまだポップスが好きであれば良かったのだが、ゴリゴリのロック好きだから困った。そこで音楽好きの弟から薦められたのがV系のバンド(ムックやらプラトゥリやらガゼットやら…)とACIDMANである。(なぜそのチョイスだったのか全然分からない)

 捻くれていた私もそこでどハマり、でも英語歌詞は嫌いなので全て飛ばして聞いていた。最初にハマったのは1stアルバムに収録されている「シンプルストーリー」。完全に歌詞世界と声とベースの音のデカさにハマった。(絶対に恋愛の曲を歌わない安心感たるや凄まじい。心当たりがある方は是非どうぞ。)

 

 そこから月日が流れ、高校卒業後は毎ツアー1公演は最低行き、就職後はお金に余裕が出来たため遠方の公演にも足繁く通うようになり、立派な現場至上主義ファンが完成した。

 

2017年のSAIから2019年くらいまでの話

 2017年のSAIは1日だけの開催でソウルメイトと共に参加。休む暇のない過酷極まりないフェスであり、今でも覚えているのがヘトヘトになって夕方食べたファミレスかなんかのパフェの美味しさである。

 ソウルメイトは当時激務であったため、トリのACIDMANを見ずに帰宅。私は一人会場に残り最後まで楽しんだ。この時も本当に愛に溢れた、ハッピーでチアフルなフェスで幸せすぎて終演後は一人で帰りたくなくてけやき広場をうろうろしていた。でも誰とも話すわけでもなく一人、埼玉から横浜へ帰るのであった。

 そこから月日が流れ2018年頃。私は音楽の話を誰かとしたくてTwitterリアルアカウントとは別のアカウントを作成した。最初は完全な壁打ちであったが、徐々にフォロワーが増え、Twitter上で会話の出来る人たちが増えた。

 また月日が流れ2019年。ACIDMANがファン投票でセトリを組むというファンが泣いて喜ぶツアーを発表した。(ちなみにこの企画は2回目。1回目も最高だった)

 このツアーで私はTwitter上でしか話したことのない、顔も声も知らない友人達とリアルで会うことになった。このツアーが本当に化け物でいつの間にか行くはずの無かった公演のチケットを取ってしまうという魔法にかけられ、どんどん参加回数と出費が増えるという摩訶不思議な体験をした。こうして全国各地にACIDMAN好きな知人が出来、それ以降毎ツアーとても楽しい思いをし、遠方の公演にもっと足繁く通うようになってしまった。仕方ない。高校生の時からその時まで、友人たちに薦めても誰もハマらず、「あ〜、赤橙ね!知ってる!」と言われること数十回、アー写が遠いとイジられ(でも本当に遠すぎたのでそれはいい)、誰にも話せないまま思いだけをグツグツと煮詰めること10数年経ってしまったのだから。

 

我慢と引き裂かれそうな数年間の話

 皆さんご存知の通り、2020年年初に未曾有の全世界的パンデミックが起きた。

 もう忘れている人もいるかもしれないが最初の1年くらいは、わたしの大切な場所が叩かれ、叩かれ、ベッコベコになるまで叩かれまくった。確かに対策が出来ていなかったかもしれないけど、そんなのみんな同じじゃん!スケープゴートにするのやめて!と思った。これがテレビやネットの中だけならまだしもリアルでもやられるから参った。配信ライブを見て、配信で全然いいじゃん、と言う人(配信ライブも勿論楽しいし、現地に行けない場合大変助かるので否定は全くしない)。ライブハウスに行くなんて感染しに行ってるようなもの、と言う人。病院で感染に怯えながら何もかも我慢してる人もいるんだよ?と言う人。誰もが悪気があって言っているわけではなかった。でもそんな言葉を聞き、見て、読んで、そんな気持ちがあるような態度を取られるたびに、大声で知らねえよ!聴く人、見る人がいなかったら死ぬ人間もいるぞ!と言いたくなった。言わなかったけど。言い分も全部分かった。分かるからこそ困っていた。そして、そんなことを思うたび、自分は自分の楽しみのことしか考えていない、自分勝手な人間なんだ、と反省した。反省して、急に地球が消えて無くならないかな、と思っていた。昔から自己嫌悪に陥ると最終的には地球を爆破させる癖がある。

 そんなこんなで1年が過ぎ、2021年の夏を迎え、わたしのブチギレポイントその1のオリンピックを迎える。学生時代から運動部だけ、スポーツ文化だけが優遇されるこの世界を憎んでいる。ブチギレながら友人達とグループ展をやったりして、それはそれで反抗だったりした。

 そんなこんなで1年が過ぎ、2022年の夏・秋を迎え、わたしのブチギレポイントその2を迎える。コロナが落ち着いたのか落ち着いていないのかよく分からないが、満員電車が復活し始め、水面化から徐々に会社の飲み会が復活、スポーツ中継では声出し、密集、なのにも関わらずわたしはマスクをしたままテープで区切られた枡に立ち、無言でステージを見て、場所によっては600円で水を貰ったりする(夏くらいまでは大きなライブハウスはノンアルコールであった)。

 終わった後に居酒屋に行き、ビールを飲み、喋り、大声で盛り上がるサラリーマンを見て、なんでライブハウスだけダメなんだろう?と思い、やけ酒をしていた。そして、その状況に加担する自分にイライラした。*1

 そして、感染状況が落ち着いているのか落ち着いていないのか、ぶり返しているのか、いないのかよくわからないまま2022年の11月を迎える。

 

参加にむけて準備万端な前日までの話

 1年前チケットを取った時は1年もあるのだから筋トレも体力作りも、出演アーティストの予習も完璧にできると思ってた。

 しかし、人間は怠惰な生き物である。

 忙しさを理由に何もしない(忙しい、と言ってもそこまで忙しくない)のがわたしという人間である。

 長期休みの宿題は初日か最終日にやっつけでやるし、国内旅行の支度は当日の朝するし、忘れ物をしても買えばいいと思ってるし、大学受験が控えているのに12月まで部活動をやるし、終電のアラームが鳴ってからタクシーで帰るか、宿泊先を探すかするし、コンビニでのチケット代支払いはもう何十回も期限切れになった。そういう人間なのだ。

 そして、最悪なことに春頃からずっと痛かった股関節周りの痛みが日常生活に支障をきたしはじめ病院へ行き、腸腰筋症候群とすんげえ長い名前の骨の剥離骨折が判明する。問題先送り人間の末路である。

 しかも何も考えていなかった1年前のわたしはアリーナ立見席を2日間取っている。絶望である。

 ここで楽観的人間のやることがインターネット上の疲労回復方法の情報をフォロワーさんたちの力を使ってかき集めることである。スタンド席を取り直すことではなく、情報を取ることであった。それに加えて、いつもはしないインフルエンザの予防接種、乳酸菌飲料の摂取、鼻うがいである。

 この効果があったのかよく分からないが当日を元気に健康に迎えられた。

 1年間待った、この日。

 しかも開催数日前にガイドラインが更新された。

 

不織布マスクをご着用いただくことを前提に、普段会話をする程度の声の大きさであれば、声出し、歓声が可能となります。 ※周りの方の迷惑となるような、継続的な大声はご遠慮ください。

 

 

 

 どうやってやるの?って感じだが、とりあえず喜んだ。だってもう何年もこの日を待っていたんだもの。しかも、それをこのお祝いの日で出来るなんて。声出せなくても楽しめるけど、選択肢があるのは嬉しい。やっと公式に認められて、我慢をあまりしなくていい日が来たのだ。しかもこの記念すべき日に。



SAI 2022 初日

 はい、ここからが1日目の記録です。

 でもライブ中の記憶があまりない。いつだってそう。だから私は何度もライブに行く。

 2022年11月26日、天気は家を出た時は雨が降りそうな感じ、会場に着いた時はパラっと雨が降ったような、降ってないような、持ち堪えてくれー!と思うような曇天。そしてそれまでの暖かな陽気が信じられない寒さ。でも前回の雨、めちゃめちゃ寒い天気と比べたら全然よかった。

 さいたま新都心の駅に、着くなり顔見知りのフォロワーさんに会う。ウキウキで少しスキップしていたのを見られたかもしれない。5年前と違い知人がたくさんいるのだから言動に気をつけよう、と心に誓ったのだった。数分待つと今日行動を共にするソウルメイトと合流ができた。彼女は5年前のTシャツを着て(今までも何回か着たから色褪せていてそれが最高にクールだった)、鞄に5年前のリストバンドを着けていて前回の休憩なしハードモードフェスを乗り切った勇者の顔をしていた。

 その後何人かの知人に会い、挨拶をしたり、お金を借りたりして(キャッシュカードを忘れ現金が無く青ざめていた。心優しい友人、感謝…)、コラボの日本酒の予約をし、一緒の友人をパシらせてグッズを受け取りに行ってもらったりした。

 今回、グッズが事前予約→会場受取(最初に買えた人は郵送)、もしくは当日アプリで購入→会場受取を推奨しており、これがとても快適だった。寒い中並ぶのは心折れるし、並んだ挙句売り切れとかよくある話で、本当に1日のテンションが左右される。この販売形態はぜひ全国のフェス、大規模なライブやコンサートで実施してほしい(既に導入済みだったらすみません)。またクロークも事前に券を購入、こちらが個人情報等を記載する手間も無く、アプリで管理でこれもまた快適だった。元は直接接触をなるべく減らすために考えられたのだろうけど、今後もこのような方式でやってほしい。こう思うと少しだけこのパンデミックも悪くないなと思う。ほんの少しだけだけど。

 

 そして、会場へ入場。

 

 会場内に入ると宇宙でした。

 安定、安心の宇宙。

 前回あったか忘れてしまったのだが、空中に小さくて丸く連なったLEDライトが吊るされており、それが色や陣形を変えて動く様がすごく可愛くて待機時間はずっとそれを見ていた。(調べたけど名称が分かりませんでした)

 会場内にはACIDMANインストゥルメンタルの楽曲が流れており、ただのフェスではなく、ACIDMAN主催のフェスなんだ、ということを意識させられる。*2

 転換中や開演前、前方のモニターではグッズの紹介やら注意事項やら協賛の企業のCMや自治体のCMが流れているのだが、UNHCRの CMが強烈すぎて今も忘れられない。協賛ブースもあったようだが、何にせよギリギリの現金で二日間生活しようと思っていたため寄れなかったのが心残り。心残りである。フェスなのにこんな重いCMを連チャンで流す(UNHCRとSAVE  THE CHILDREN)なんて珍しいなと思ったが、あまりフェスに行かないから比較対象が無いことに気がついた。当日までのアナウンス含めてかなり脱炭素化の取り組みや食品ロス対策などもあったから恐らく主催としてそういう表明の意味もあったんだろうなと思っている。そういうことやライブ会場に募金箱があったり、毎年3月11日には福島でライブをしていたり、そういう姿勢に対しても同意ができるからこれだけ長くファンやっているんだろうな、なんて考えたりもした。

 

 開演時間が近づくと『式日』が流れはじめ、段々とボリュームが上がる。もうこの時点で胸がいっぱいになり、涙目、というか泣いていて今日一日何度泣くんだろうとぼんやり思ったりしていた。

 ここで5年前グッズに並んでいたりクロークに並んでいたりしたら間に合わなかったオープニングが流れ始める。今年は間に合って本当によかった。

 

 やっと本編です。ここからは前述の通り断片的な記憶しかありません。

 初日1発目は

東京スカパラダイスオーケストラ

 1発目にスカパラは天才です。知らなくても盛り上がれる、最高な音楽。知っている曲はテレビで流れている曲とフェスで聴いたことある曲くらいという完全ニワカな私でも楽しめる曲たち。スカパラの楽曲で一番好きな「水琴窟」が聞けたのがハイライト。

 


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 あとはACIDMANがカバーをしている「追憶のライラック」ここで白スーツの大木伸夫登場。フェスの動画で見たことあったがあれは反則。前にスカパラとの対バンでフォロワーさん達がこの姿を見たようで、言葉を失い、その後「あれはやばかった」とずっと言い続ける様を見ていたのでヤバさは分かっていたつもりだったが、カッコよさが宇宙レベルだった。朝から見ていいものじゃない。出てきた瞬間にざわついたのがそれを物語っていた。

 スカパラACIDMANの解散の危機を救ってくれた恩人なので、私の恩人と言っても過言ではない。そんな恩人のライブは暖かく陽気で、祝福のムードに溢れていて、たった40分程度でも、このあとの今日が、明日がいいものになることを予感させてくれた。

 

 

 続いて

DOPING PANDA

 スカパラ以上のニワカで再結成のニュースを見てから何曲か聞き、新しいアルバムを聞いた程度の知識しかない。けれどソウルメイトが好きということで絶対見るアーティストに入ったのだった。バンドというものは続けるのがどうやら難しいらしい。今のところリアルタイムで解散は経験していないが(既に心が離れていたバンドやナンバガ再解散については目を瞑る)、休止、事実上の解散、メンバーの脱退については何度も経験した。そして休止していたバンドが再度活動を開始する喜びというものも身にしみて知っている。再始動で鳴らされる一音目の尊さを知っている。それが休止前と変わっていてもまた鳴らしてくれる喜びには変えられない。*3

 フォロワー達がその音を待ち望んでいることを知っていて、だからこそその緊張感の中で鳴らされた音が深く響いた。

 1曲目、少し走り気味なギターとボーカル、少しチグハグな感じがして、それがあまりにもリアルでこの大きなステージに立つ人も同じ人間であることを感じた。そこからどんどん音が重なり、パズルがはまっていくような感覚があり、生物の力を感じた。こういう生の力、リアル感を感じられるから私はライブに行き続けるのだろうな、と思った。

 本当にニワカで申し訳ないですが、フルカワユタカ、マジでかっこいいです。目が離せない輝き、これが“スター”かと合点した。

 予想外に踊ってしまい、2バンド目なのに体力の衰えを感じて、これからに危機感を覚えつつ、次のバンドを待つ。次のSiMが終わったら絶対ラーメンを食べようと深く誓ったのを覚えている。


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最新曲。再始動したバンドが新曲、って嬉しいよね。

 

私の前半戦最後は

SiM

 聞かず嫌いで、激しそうで全く聞いたことがなかったのだが、当日の一週間前くらいにフォロワーさんにおすすめ曲を教えてもらい何曲か聴き、見ることを決めたアーティスト。

 洋楽のオルタナやらミクスチャーロックが好きで、その後エモ、ハードロック、邦ロック及びV系に流れた私としては大好きすぎる音だった。というかボーカルの方めちゃめちゃかっこいいし、カリスマ感あって、最高だったし、このバンドもやることに一本芯が通っている感じがあって好感しかない(フェスで某アーティストが公式に認められない声出しを煽ったりしている中、ルール内で声出しができる基準をクリアしたワンマンを発表したり、しかもこのアナウンスメントがかっこいいので知らない方読んでください)。

 ライブ自体もやっぱりライブって最高だ!と思えるようなパフォーマンスで、絶対にやらないと誓っていたヘドバンをしてしまった。柵が目の前になくてよかった。あったら全力でやって次の日首が動かない人間が爆誕していた。


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 そんなこんなで体力の90%を使い果たして、友人と合流。ここで既にback numberの時間であったが休憩とし、英気を養った。ここでも友人をパシってビールを買いに行かせたりする(友人は酒が飲めない)。座る場所が見つけられなくて地べたに座って念願のラーメンを食べ、ビールを飲み、「今私はフェスを楽しんでいる!」という気持ちでいっぱいになり超バカでか声で喋ってしまった。



 少し遅刻して

氣志團

 氣志團のファンを初めて見かけたのだが、昭和のヤンキーみたいな格好をしていた。ヤンキーなんだけどいい人感があって大変面白かった。疑問として、あれどこで着替えるんだろうか?家からずっとあの格好なのだろうか?誰か教えてほしい。

 これまたワンナイトカーニバルしか知らない完璧なニワカなのだが、さすがである。めっちゃ楽しかった。これぞエンターテイメント。やはり地上波に出ているような人は大きな空間での見せ方が上手である。

 フェスの楽しいところは普段では出会わない音楽や人に出会えるところである。普段だったら絶対に選択しない音楽を聴き、そこから好きになるアーティストが生まれたりする。*4

 サブスク時代、音楽を能動的に聴くことはかなり難しい。気に入ったアーティストやそこから関連するアーティストがピックアップされそれがさも偶然のような顔をして現れる。好みじゃないと思ったらすぐに次へのボタンを押して、また音楽の海へと放たれる。昔はレンタルショップで借りて、外出先で聴ける音源にも限りがあったから少し好みではなくても我慢して聞いたりして、聞いているうちに魅力に気がついたりして、それはそれで楽しかったと思う。

 続いて

 LOW IQ 01&THE RHYTHM MAKERS +

 発表された時SAIに出るんだ!とびっくりした。なんとなく埼玉スーパーアリーナで演奏している様子が思い浮かばなかったためである。全然曲は知らないが、9月に行ったニューアコで別編成で演奏していたため聞いたことがある曲があったような気がする。そして朝からフルカワユタカが頭から離れなかったため純粋なギタリストとして拝めて大変眼福であった。めちゃくちゃギター上手いんだな……。前のアーティストがアリーナをアリーナとして扱うなら、この人たちアリーナですらライブハウスにしてしまうバンドなんだな、と思った。そういった意味でも振れ幅があり、バンドって面白いなと思った。それからすごく楽しそうに演奏するのが印象的であった。絶対に楽しそうな方がいいのである。

 

 ここで友人と再度合流。5年前と同じく甘味タイムである。クレープが染みた。これで夜まで頑張れそうだと思った。その代償に狼が見られませんでした。

 

 ここから最後まで3バンド連チャン。

 まずは

ストレイテナー

 好きになりそうであえて距離を取っているバンド第一位。なぜかちょくちょく見ているバンド第一位。メンバー全員を本当は見たいのにボーカルだけ見ちゃうバンド第一位。普通に好きで感想が書けないバンド第一位。

 SAD AND BEAUTIFUL WORLDの歌い出しと宇宙の夜 二人の朝が好きすぎるのでなんとかして円盤で欲しいがきっと権利の関係で難しいだろう。記憶に留めておきたいが興奮しすぎて何も覚えていない。貴方達もどうか健やかに末永くバンドを続けてください。


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 続いて

Dragonash

 ダンサーさんが抜けてから初めて見る。ダンサーがいないことでバンド感が増して、どうしてもダンサー見てしまうから、見やすくなったなという印象。

 久々に見た彼らはエネルギッシュでロックで、でもキャッチーで、華があり大変楽しかった。

 今年は各地のフェスやらイベントやらで物議を醸してきた彼ら。今回もガンガン煽るのでモッシュらしきものとダイブが起きた。観客がルールを守らないから起きたことなのだが、2日間通してこのようなことが起きたのはこのバンドだけ(勿論私が把握している限りで、の話だが)。演奏やパフォーマンスはめちゃめちゃかっこいいのに、どうしてももやもやしてしまう。今定められているルールなんて意味がないかもしれないけれど、行政の力も借りて出来ているイベントなのだから、守った方がいいのでは?と思うのは私がいわゆる社会人になってしまったからだろうか?でも、たかがルール、されどルールである。本音を言うともうこんなどうでもいいことで悩みたくないので早く何もかも撤廃されてほしい。私はダイブもモッシュもするタイプではないが、前述の通り選択肢があることが大切であると思っている。小さくため息を吐きながら、今日の主役を待つ。

初日最後に登場するのはもちろん

ACIDMAN

 もう1日が終わってしまう、そんな寂しさを抱きながら3人を待つ。照明が落ち、登場のSEの最後の国が流れ始める。もう何回も何十回も聞いた曲だけどいつもドキドキしてしまう。大きなアリーナに響くクラップの音に感動してしまい、既に涙目で明日はどうなってしまうのだろうと心配になる。

 セットリストは前ツアー「This is ACIDMAN」の簡略版といった感じだったが、度肝を抜かれたのが中盤で「廻る、巡る、その核へ」を演奏したことだ。この曲は10分を超えており、そのテーマ世界観から普通のツアーでも演奏されるのはファイナルの武道館くらいというような曲である。これをこの熱心なファン以外もいる空間で演奏するとは攻めたな、と思った。聞けばわかると思うが、長いし、何言っているかよくわからないし、終盤はマイブラか?ってくらいの轟音だし、映像も陸なのか海なのかよくわからない場所の派手色アニメ映像が続くし、それにファンは棒立ちもしくはトランス状態で怖いし、彼らがどんなことを普段から歌っているのか知らない人からしたらよく分からない世界観だと思う。何なら引かれる可能性すらある。それをこのフェスでやるとはこちらも予想していなかった(けれど聴きたいとずっと言っていた)。でも彼らの世界観を伝えるにはこの曲が必要だし、これが刺さった人は恐らくファンになるだろうから、正攻法だったのかもしれない。


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 こんなとんでもない曲の後に演奏したのは「世界が終わる夜」フェスでも、ワンマンでも何でも演奏された曲だ。一時期はこの曲に対して食傷気味になっていたが、輪廻転生を経て聴くこの曲は、この世に生きる者として、この生命を存分に使うぞ、と思えるような印象を受けた。ラストのサビで降ってきた星に向かって手を伸ばす客席のみんながとても美しくそれだけで泣けた。(前回も思ったけどこの星の動きが予測つかなすぎてちょっと怖い)

 そんな感動的な演出の後は5年前の再現をします!と言い、スカパラの谷中さん、加藤さんを交えての「ある証明」泣き過ぎてほぼ何も見えていなかった。覚えてるのは大体滲んだ景色ばかり。久々の声出しOKのある証明は泣きながらも笑顔になり拳を突き上げる、とんでもなく生命力に溢れた数分間だった。

 アンコール無いから、となだれ込むように演奏された「Your song」にまた涙。大好きな和訳がサイドモニターに表示されててこの曲の力強さにエネルギーを貰う。終盤、その日のアーティストのライブの写真や客席や、広場での写真が流れる。その笑顔が素晴らし過ぎてまた泣く。金テープが特効で飛んできて、握りしめたまま拳を突き上げていたら金テープがぐちゃぐちゃになっていてそれもまた思い出の一部だなと思って綺麗なものを拾い直さなかった。



 彼らのライブが終わってそのまま、総合プロデューサーの大木伸夫が現れ(なぜか別人格であるように振る舞う)、出演したアーティストを舞台に呼び込む。これが全く段取り出来ておらず、みんな自由で笑う。やっと集まったメンツは客席と背景のキービジュアルを背に集合写真を撮る。その様子を見て「メンツやば」と声を出して呟いてしまった。集合写真を撮る様子がなんともいい意味で内輪感があり、そのフェスの暖かさやホーム感を象徴しているようで両日ともその風景をよく覚えている。ニコニコの出演者を見ているとこちらもニコニコになってしまう。やっぱり楽しいのが一番。

 

 終演後ソウルメイトと合流。重い足を引きずりながら駅へ向かう。前回と違うのは終わった後に話せる人がいること。明日もあるということ。

 この1日でとても満足してるのに明日もあるという衝撃。終わった後のビールの美味しさの衝撃。膝と腰が痛すぎるのに明日もあるという衝撃。2時間ほど仲間たちと酒を酌み交わし、私はホテルへ。ちゃんとストレッチをし、大浴場にも入り、マッサージもして、早めに寝て明日に備えるのだった。*5

 

 1日目の一言感想

 バンドっていいなあ~~~





SAI2022 2日目

 9:30くらいに会場着けばいいや〜と思いゆっくり起床。目覚めは前日の晩飲み過ぎてないおかげかスッキリだ。しかしベッドから起き上がった途端、とんでもない腰痛。マジで今すぐに鍼を打ちたいくらいの激痛。今日の夜どうなってしまうのか、という恐怖。いつもの1.5倍時間をかけながら用意をし、朝食を取り、ストレッチをし、会場へ向かう。

 外は雲一つない晴天。

 痛い腰にはなるべく意識を向けないようにルンルンの足取りで会場へ向かった。

 今日はソウルメイトは不参加だが、この数年間で増えた友人達が会場にいるので寂しくない。ハッピーだ。友人達とはバッチリけやき広場で合流。

 2日目の一発目は

THE BACKHORN

 ワンマンは行ってないけど(学祭では見た)、フェスや対バンで何度も見てるし楽曲も結構聴いてるバンド。ライブを見ると、「生きねば」とマジで思うので好き。楽観的な私は結構人生を舐めてかかっているので、時々こういう音楽に触れてまじめに生きよう、と思わないとあっさり色んなものを手放しそうだ。結構何でも何とかなると思ってるし、何ともならないからしょうがないっしょ、とも思っている。

 前日と比べて早く入ったおかげで少し後ろだけど柵があるところに立てて、快適だった。このままの場所で最後までいられたら最高なんだが、それは無理なのがフェス。

 朝一発目の『刃』は強制的に目が覚めるので、朝イチにBACKHORNを配置した総合プロデューサーは天才。久々に声出しOKで、小声でも歌えるのは本当に最高で、我慢してきた甲斐があったな。と思った。大好きな『空、星、海の夜』をやってくれてよかった。この曲本当に好きでラスサビで泣いちゃう。あと、ギターの音が憎すぎる。

 


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 ここで朝から拳を突き上げノリノリで40分過ごしたおかげでとんでもなく汗をかいたため一旦アリーナを離脱。川越物産展的なエリアでアイスコーヒーと肉サンドでエネルギーチャージする。特にお腹は空いていなかったが今ここで食べなければ余裕がなくなる、と慌てて買ったのだった。外のけやき広場もアリーナ席もスタンド席も前日よりも人が1.5倍くらい入っているような感じがした(完全主観です)。賑わいは2日目のほうがあったが、限られた時間のなかで移動、食事、休憩をする我々にとっては1日目のほうが快適だった気がする。難しい問題だ。*6

 簡単なエネルギーチャージ後、

the band apart

 新譜が本当に良くて今までで一番聞いているかもしれない。本番前のサウンドチェックで本人たちが音出しを行うというのはよくあることだが、ここまで演奏するのははじめて見たかもしれない。1〜2曲で終わりかな、と思ったら「もう1曲やっていい?」と言い始め、計4曲ほど演奏した。結果、リハが終ったのが本番2分前。時間無くなったからとハケずに本人がスタンバイしている横で大型スクリーンで紹介SEが鳴り始めたのはめちゃめちゃ笑った。ここはたまアリではない。ライブハウスです。そんなマイペースな雰囲気は最後演奏し終わるまで続くのだけど、ゆるい空気感とは裏腹に演奏がバチバチにきまっているのがカッコいい。新譜が出てからはじめてライブを見るので、初、『The Ninja』クラップが出来て嬉しかった。アリーナもかなりスペース的に余裕があり、ノリノリで踊り、クラップをし、また汗だくになった。他バンドが祝福の感動するMCをする中、今朝の大宮駅の火事の話を唐突にし始めたのにもめちゃめちゃ笑った。会場が縮小して500人レベルのライブハウスになっていた。バーカウンターに行ってビール買って飲みながら見たかった。今までワンマンは全く行ったことなかったのだが、フェス等で見るたびめっちゃよかった~と思っているので今度はワンマンに行こうと思った。

 そんなこんなで40分でかなり整ってしまい、ビールを飲みたい欲望を抑えられなくなったため一旦離脱。人間は欲望に弱い。スタンドの200レベルの外周?にもビールは売っていたのだが、かなり長蛇の列で「そうだよね、バンアパの後はビールだよね」と思いつつ、並ぶのが大嫌いなので外へ向かう。今思えばこの時に既に人の流れは会場へ向かうほうが多く、逆走している形だったのだが、なんにせよバンアパが良すぎて、ビールを飲みたすぎて何も気づかず会場の外へ(この逆走状態が後の「前方エリア待機列」の罠)。並びたくなく外に出たが、結局列に並んでビールを買う。ここで偶然友人と合流。おしゃべりしながら飲んでいたら、いつの間にか二杯目を買っていた。人間は欲望に弱いのだ。完全にバンアパで出来上がってしまい、また頑張れる気がしなかった。別の友人にも偶然会ったり、フォロワーさんだけど初対面の方にご挨拶したり、おしゃべりしたりしているうちにホルモンが終り、BRAHMANが始まった。そろそろと思い、重い腰を上げる。この腰が本当に重い。これが最後の休憩になることは分かり切っているので気合を入れる。

 ここで完全予想外の「前方エリア入場待機列」が現れる。前日は終盤で少し並んだかな?といった感じだったのに、この後前方エリアで見たいならBRAHMANを見ることを諦めるか、後方エリアで見て終了後入れるか分からない前方エリア待機列に並ぶという、選択を迫られる。焦りながらタイムテーブルを見る。アジカンで前方に入らなければ最後まで前方に入れないのでは?という並び。泣く泣くBRAHMANを諦め、立って入場を待つ。終る前に列が動き始め、奇跡的に最後のMCだけ見れた。前後の繋がりがよく分からなかったが、めちゃめちゃ感動したし、終わり方がかっこよかった。気になる方はレポートを読んでみてください。

 そんなこんなで無事に前方エリアへ。(=15時のアジカンから20時の終演まで立ちっぱなし確定)終ったあとに訊いてみるとわたしよりもずっと長い間アリーナにいた猛者がかなりの数いたので、わたしなんてまだまだヒヨッコだと思った。

続いて、

ASIAN KUNG-FU GENERATION

今までずっと音源聴くだけのファンだったが、数年前ふと思いついてワンマンライブへ。そこでの柔らかで暖かい雰囲気に魅了されてちょくちょくライブも見ている(前ツアーは予定が合わず行けなかった。無念)。その大好きな雰囲気がこのフェスでも溢れていた。

『リライト』からの『ソラニン』はあまりにも世代だし、でも昔の曲ばかりをやるわけでもなく新しい曲の『You To You』『Be Alright』も今のアジカンで、優しい気持ちになった。サポートメンバーのコーラスも素晴らしくて曲全体が柔らかく、奥行きのある雰囲気になっていた。『Be Alright』でハンドマイク一本で自由に動きまわるゴッチを見ていて、わたしも飛び跳ねたい気持ちになった。丁度MCをしているときに小さい子が泣き出してしまいその時に「子どもは泣くのが仕事みたいなもんだから大丈夫だよ~」と言ったり、「合わないと思ったらトイレとか行っていいよ~」と朗らかに言う姿が印象に残っている。アジカンのライブを見た後はいつも多幸感に包まれるし、人間本来のやさしさとか適当なところを思い出したりする。

 そんなこんなで幸せな40分を終え、また一段と人が増え、次は

ELLEGARDEN

 ド世代のはずだが、前述の通り高校生の時の私は謎の方向に捻くれていたため、ほぼ通っていない。でも当時数曲だけ聴いて、その数曲はすごくかっこいいなと思ったのを覚えている。かっこいいなと思ったのに深堀しなかった。同級生にエルレとホルモンが好きな女の子がいたのを覚えている。どちらも守備範囲外だったため仲良くなれなかったが、もしかしたら同じ会場にいるかもしれないな、とぼんやり思った。そういえばエルレの解散が発表されたとき教室で泣いていた気がする。そんな遠い記憶を掘り起こしたりしていた。

 多分会場には再結成後初めて見る人もいるのだろう。期待の籠った熱気が凄かった。大人になった人たちが当時の年齢のように飛び跳ね、拳を突き上げる姿は何とも感慨深い。私も疲れを忘れ飛び跳ね拳を突き上げた。セットリストは昔の曲ばかりではなく、新譜もやっており、「今」生きているバンドとして演奏してくれたのがすごく良かった。

 それにしてもかっこよかった。完璧にかっこよかった。高校生のときの自分に言いたい。かっこいいと思ったらめんどくさいこと考えず聴け、ライブに行け、それからその同級生の子にオススメを訊け。

 あっという間の40分、終わると完全に実年齢に戻る。身体は嘘を付かない。膝、腰、肩が弾け飛びそうで、足裏が痛く今にもつりそう(余談だが人生で一度もつったことがないので完全に想像のつりそうな状態なため本当かどうか分からない)。流石に人に囲まれた状態で待つのが辛かったため、端っこの人が少ない、いる人はどこかをさすったり屈伸をしているエリアへ。

続いて

10-FEET

前回のSAIぶりに見る。

 MC含めてアツくて優しくて面白かった。スマホ光らせたからバラードでもやるのかと思ったら、ただ座らせてMC始まった挙句無音でジャンプさせたのマジで謎すぎてめちゃめちゃ笑った。あと膝が死んでいたので一旦屈伸運動が入ったのが有難かった。

 新曲『第ゼロ感』がいい意味で、10-FEETっぽくない曲ですごくカッコよかったので聴こうと思う。


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 やはり長年愛されているバンド、毎年すごいフェスを開催しているバンドにはその場にいる人を魅了させる力があるんだな、と改めて感じた。

 赤橙カバーは「そして少年は一握りの~」を連呼していて、何を握ったのか、それをどうしたのか歌ってくれなくて、終演後もずっとこの連呼パターンが頭から離れなかった。何なら次の日も頭から離れなかった。少年一握りの何なんだろう…。

 

 続いてトリ前

Mr.Children

 トリ前のミスチル、って多分見たことのない字面。アリーナは人だらけ、スタンド席にも人、人、人。コロナが流行り始めてから見ることの出来なかった光景がそこにはあった。ここまで持ち堪えることが出来たんだ、あと少しでこの我慢とルールと外野からの声ばかりがうるさい場所から抜け出せるかもしれないという希望が持てた。けれどもそれと同時に持ち堪えられなかった場所や人のことを思ったりもした。

 前バンドまでいた如何にもロックキッズな出で立ちの人たちに加えて、アリーナにその荷物持ってきます?その服装暑くない?という人たちが混ざり始める。普段だったら交わらな人たちが同じステージを見ているのが不思議な感覚だった。私も人生でミスチルを見る日が来るとは全く予想していなかったので、不思議な感覚で彼らを待っていた。

 紹介の映像(SE)が流れるとひときわ大きな拍手。私の隣には恐らくミスチルファンらしき人がいて既に感極まっていて、早いよ!と思ったけど、私も初日の朝イチで感極まっているので同じようなもんである。

 最初の1音目の歌声で、はじめて見る人みんなが息を飲んだような気がした。わたしは変な鳴き声みたいな声を出してしまったかもしれない。場を制する力が強すぎる。スタンド席の一番遠くの席まで見通せているのではないか?と思うくらいキメの細い歌声、声量。そして予想を裏切るバンド感。J-POPだって舐めていました。わたしにはもう解散したレのつくバンドのトラウマがあるので、あの人物が近いアーティストに嫌悪感を抱いてしまう。(ACIDMANの某曲ではどうなることかと思いましたが、あの1曲だけで済んだので全然無問題。あと音源ほぼ聞かずライブでしか聴いてないので。)

そんな瑣末な問題はどうでもよくなるような圧倒的な歌の力…。

 呆然としてるうちに40分が終わってしまった。終わって最初に思った感想が「歌、うま」だったので、完全に舐め切っていた。おおよそ2週間経ってもその感想しか頭に浮かばないくらい上手かった。

 呆然としたまま、最後の転換。

 でもサウンドチェックで正気に戻り、気持ちがステージに向かったので良かった。最初タイムテーブルが発表されたとき、ACIDMAN前に帰る人が多くいるのではないか?と心配したが、アリーナもスタンドもあまり帰る人はおらず、本当にただの杞憂に終わってよかった。

 ACIDMANはフェスのセトリは結構いつでも同じ感じというのかファンの間での認識だ。短い時間で分かりやすく、自分の世界観を伝えるためには仕方ないが、ファンからするとまた同じか、と思うし、それが理由で私はあまりフェスには行かない。ということで2日間同じセットリストなのでは?と私は思っていた。もしかしたら今日の客層的には廻る、巡る、その核へ は外されるかもとさえ思っていた。

二日のオオトリはもちろん

ACIDMAN

 暗転、おなじみのSE「最後の国」が鳴る。クラップが鳴る。はじまる前のBooさんの教えのおかげか美しく揃ったクラップ。その大きな音だけで涙が出てきた。1曲目のドラムのカウントが始まり、昨日と違う曲だ、と思った瞬間、映像とギターの音で私は足腰の疲れを忘れて嬉しさで飛び跳ねた。大好きな『world symphony』一発目から私の大好きなACIDMANすぎる。涙はどこかに引っ込んだ。そこから『FREESTAR』へ。前日に引き続き綺麗でキラキラしていて浮遊感があり疲れを忘れてリズムに乗って跳ねてしまう。前日とは構成を変えた曲順で、次は何だろうと思っていると、ACIDMANの楽曲では珍しいテンポのバスドラムが鳴り始める。最新アルバムに収録されている『夜のために』が始まった。スクリーンには歌詞が表示されている。このアルバムなかで唯一コロナ禍で書かれた曲で、その歌詞は伝わりやすい言葉で、この閉塞感のある生活に根付いた言葉で、前向きにさせてくれるような言葉だ。聴くたびにグッとくる。

 

輝いて 夜のために

何を失ってしまったとしても

消えないで その心で その命で

生き抜くんだ

ACIDMAN 夜のためにより)

 

 

 MCを挟み、気付く。「あれ、昨日と言っていること同じだな。ということは?まさかのまわめぐ(ファンの中での廻る、巡る、その核への通称)二日連続??」

 二日連続だった。

 満員のさいたまスーパーアリーナに響く轟音。これが見たかった。

 この曲をACIDMANをあまり知らない人たちはどう聴いたのかとても気になる。この曲を聴いて気になり始めた人がいたらぜひお近づきになりたい。ちなみに私の目の前にいた恐らく聴いたことが無さそうな男女は途中からずっと耳を押さえていた。爆音で申し訳ないな、と思った。聴いているうちに慣れるけど、ライブ用耳栓は持っておいたほうがいいよ、と心の中でアドバイスしておいた。

 そんな曲のあとは『ALMA』最初聴いたときはなかなか好きになれなかったが、最近は結構好きになってきた。ベースの音が可愛いので好き。曲が綺麗すぎる、と思う日もあるが、そんな日も減ってきた。これがきっと年を取るということなんだろうな、と思った。ラストのサビの部分で、前日同様に特効で星が降ってくる。満員のアリーナで人々が手を伸ばす姿は何だかロマンチックだった。自分も取ろうとすると曲が聴けないので、視線はステージに全集中させると良い感じに前の客席がぼやけて、良い感じに風景が見えるということは前日に覚えた技だ。

 そこからは興奮しすぎてそして泣きすぎてあまり覚えていないのだが、前日同様に『ある証明』と『YourSong』を演奏した。

 最後の一音が終わり、手が腫れるんじゃないかと思うほど大きな拍手を送った。このコロナ感染症が再拡大しはじめているなか、アーティストが誰一人欠けることなく、大きな混乱がなく終えられたことが本当に奇跡のように思えてくる。

 総合プロデューサーは興奮しすぎて動物園の動物のようにステージを左右に歩いている。前日同様出演アーティストを呼び込むが、前日同様ぐだぐだしている。ここもまた良い。大木伸夫の私服および衣装候補?を勝手に着てコスプレする人たちが大量発生していて笑った。前日同様集合写真を撮り、エンドロールへ。

 ACIDMANのツアーのファイナルではエンドロールが流れることが多い。メンバーはもちろんのこと関わったスタッフの名前が流れる。今回も出演したバンド名だけではなく、個人の名前、サポートメンバーの人の名前も表示され、そのあとにスタッフの名前が続く。自分が舞台のスタッフをやっていることが関係しているのかもしれないが、多くの人の名前が流れることが嬉しい。

 楽しく、幸せな二日間が終ってしまった寂しさと充足感を抱えながら会場の外へ向かう。

 会場の外では5年前と異なり、この5年間で会えた友人たちと会うことが出来た。みんな満身創痍状態であるが、満足そうな顔をしている。歩き方はみんなヘンだけど。膝と足首が同調せず、脚が上がらず、みんなアシモくんみたいな歩き方をしている。勿論私もだ。

 

 そんな友人たちと脚を引きずりながらビールを飲みに行き、幸せな二日間が幕を閉じた。

 また5年後にこの場所で笑いあえたら最高だな。

 

2日目の一言感想

 人生って楽し~~~~~




おまけ

 いつか役立つかもしれない、持って行って良かったもの、用意しておけばよかったものの一覧です。フェスや何かしらのアウトドアに役立ちそう。



【持って行って良かったもの、準備しておいてよかったもの】

・スポーツレギンス

 大金投入、大成功。

 https://www.cw-x.jp/tights/

 これの一番高い「GENERATOR MODEL」を購入。本当に意味あるの?と思ったけど、あった。全然違う。

・ウェットティッシュ

 嵩張るけど外で飲食をしなければならないため必須。逆にティッシュはいらない。

・スポーツ用靴下

 土踏まずサポートがあるもの。小さい頃から筋力が弱く土踏まずが平らなため脚が疲れやすい。このサポートだけでだいぶ違う。欲を言えばテーピングしたほうがよかった。

・携帯食料的なもの

 https://www.ajinomoto.co.jp/products/detail/?ProductName=aminovital_14

 アミノバイタルは粉が効くことは分かっているが、粉が苦手なため、空腹を紛らわせることも考慮してこちら。二日目の5時間ぶっ通しで役に立った。

・肝臓を元気にする薬

 酒を飲むから必須。サプリ(シリマリン)を朝に服用、夕方、夜にも服用。次の日が全然違うので酒飲みは買うとよい。オルニチンも効くよ。

・大浴場付きホテル

 最高。脚の疲れの残り具合が全然違う。

 

【用意しておけばよかったもの】

・1日目のスタンド席のチケット

 それな。2日間アリーナは楽しいけど一週間疲れが残る。あと同じ場所で二日間見ているため記憶が混同する。広い会場なのに目線が大きめのライブハウスと変わらない

・目薬

 埃に加えて目をかっぴらいて見続けているために必要。持ち歩く習慣がないため途中で買った。

・新しめのスニーカー

 卸したては危険なので少し馴染んだくらいのもの。今回は結構履いているもので行ったのだが、クッション性が低下しているためか途中から踵が痛かった。

 

・足首、足裏のテーピング

 小さい頃柔らかさにあぐらをかいてバレエを続けていた後遺症です。固定と引き上げのため。ガチガチだと辛いので軽くテーピングをするのが吉。

・現金

 もしくはキャッシュカード(当たり前)。

・フェス翌日のマッサージの予約

 事前準備で終わったあとのこと考えていませんでした。1週間身体が痛かった。

 

以上!

最高の思い出!!



 

*1:ちなみに6月くらいに出張が重なりその疲れが出たのかわたしも感染した

*2:知らなかった人は聞いてください。推し曲は真っ白な夜にと青の発明です

*3:私の大好きなCopeland再始動しているのだから早く来日してくれ。

*4:2016年のサマソニで友人に連れられサカナクションを初めて見て、ほぼ初めて聞いて、そこで好きになり、今はファンクラブに入ったりしている。

*5:いつもなら何も気にせず飲むが、ちゃんとノンアルコールを飲みながらビールをちびちび飲んだので、偉すぎる。毎回そうすればいいのに。飲んだくれなことを知っている友人達に驚かれた。わたしはやればできる。

*6:余談だが、私は千葉県にある某夢の国が大好きなのだが、最近はこの同じ様なジレンマを感じている